コンセプトと予防の流れ

予防歯科オフィスT'sでは3つのコンセプトがあります。

  1. セルフケアの徹底
  2. 虫歯の原因を治す
  3. 無駄に歯を削らない

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現在の歯科治療は、虫歯を削ることが最優先となっています。

ただ原因を治さない治療は、再発を呼びます。

大事なことは

の3つです。

カリエスアセスメントは虫歯になってしまった原因を様々な検査で特定し、

それを分析することによって、個人個人にあった予防法をプログラムすることです。

セルフケアの上達は歯磨きやフロスなどを用いたご自宅でのケアの上達のことです。

定期的なチェックでセルフケアができているかを判断することが重要です。

そしてメンテナンスは、定期的な検査とクリーニングです。

 

予防は自由診療となります。費用も説明します。

カリエスアセスメント 2日 24,000円+tax

 

 

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その他の予防コースもあります。 

治療計画を立てる時間が欲しい

なぜ日本の保険診療

なんらかの医療行為に対してしか診療報酬がないのか。

 

おかげで現在でも歯医者に行って、大した検査、説明もなく歯を削られてしまう人が多く見られる。これは完全に制度の問題であるかと思う。

 

医療に限らず一般的に

計画を練り、それに対して準備をしてから行動する。

普段から何も考えず、いきなり行動する人はいないと思う。(一部を除いて)

そんな反射だけで生きていられるのは一部の感性豊かな人だけだろう。

 

現在の日本の医療は反射が求められている。

幸い最低限の検査は認められているため、ある程度反射で治療できなくはないが

かなり経験がものをいう世界になっている。

 

虫歯を発見したとしよう。

そしたら、レントゲンである程度の大きさを確認した後

削る。

 

完全に反射ですよね。。。

 

本来だったら、なぜ虫歯ができたのか?虫歯をどのような手段で削るのか?

虫歯をどのような素材で治すんか?そもそも削る必要があるのか?

 

ただ日本の保険診療はいい面もある。保険診療は誰がやっても同レベルの診療になるよう考えられている。テクニックによって差が出てしまうのを出来るだけ避けたいのだと思う

 

上記のように反射で治すために、セオリーがある。

①虫歯があったら削りましょう。

②型取りをしましょう。

③銀歯を入れましょう。

 

まぁ簡単と言えば簡単なのですが。。。

 

ちなみに自分の考える理想的な虫歯の治療は

①原因を考察する

②原因を排除する

③削る必要があるかどうかを診断する

④削るなら削る方法と大きさを計画する

⑤深い虫歯にはカリソルブなど安全な方法を用いて慎重に除去する

⑥出来るだけ小さく除去が終わったら、それに応じた素材を決める

 

はじめに①~⑥まで全てを計画してから、治療に入るのが当然と考えています。

当院ではそれを実践すべく

はじめに口腔内環境を整えます。その後検査を行い

治療計画を患者さんと一緒に考えます。

 

選択された治療法に応じて準備をしてから治療にあたります。

 

この一緒に治療計画を考える日が最も大事な日だと考えています。

この日があることで患者さんそれぞれの治療計画が考えられますし、

お互い同じ目標を持って、治せるのは嬉しいですし。

嬉しい出来事

最近嬉しいことがありました。

 

10年ほど前に勤務していた医院で診ていた患者さんが

来院されたんです。

 

名前を覚えてくださっていたようで

わざわざ検索して探し出してくれたようで。

 

10年も前となると、今より若かったですし

当然未熟なところもあったはずです。

 

それでも信用して来てくれたのかな?

と思うと嬉しいものです。

 

今までやってきたことが

間違ってはいなかったのか。

という自信にもなりますし。

 

そんな気持ちにさせてもらったわけで

ただ感謝です!

フッ素塗布は母子一緒がいい

歯科医院ではフッ素塗布という予防処置を行っています。

ところでフッ素塗布は一体どの程度効果があるのでしょうか?

 

フッ素塗布は万能の薬?!

最近フッ素塗布を希望されて来院される方が多いです。

ちょっと危険だなと感じたことがあります。

一般的にフッ素を塗っておけば大丈夫と信じられているようなんです。 

そんな魔法の薬ではないですよ。

「フッ素コートお願いします!」

という、車ですか?!というようなことをおっしゃる方もいました(笑)

 

フッ素塗布の効果は? 

ではフッ素塗布の効果はどのくらいあるのでしょうか?

まずデータから。

フッ素塗布の予防効果は30%くらいと言われています。

ちなみに歯磨き粉の予防効果が20-30%。

フッ化物洗口の予防効果は50-80%。

 

つまり、フッ素の予防効果は歯磨き粉よりも少し効果があるくらいです。

ね、魔法の薬というほどではないと思いませんか?

 

歯医者でフッ素塗布をすることに意味はあるのか?

歯磨き粉と同程度なら、意味ないじゃんと感じる人もいるかと思います。

ただ誤解を与えないようにコメントしておくと

上記のフッ素塗布、歯磨き粉、フッ化物洗口を組み合わせて予防することで

虫歯予防は効果が出ます。どれか単体だけではもともと足りないということです。

 

またフッ素を使っていれば、虫歯ができないなんて

世の中そんなに甘くありません。

 

セルフケアが重要

定期検診(メンテナンス)は通常3ヶ月に1回くらい。

それ以外は自分で自分の歯を守るしかありません。

つまり、セルフケアを上達することが一番の予防法です。

そもそもセルフケアができない状態で

フッ素だけ塗っても焼け石に水です。

 

歯医者の使い方はフッ素塗布をする場所という捉え方ではなく、

セルフケアの方法を学び、チェックに来る場所と考えてもらえたらと思います。

 

 3歳までは母親のケアを重視しましょう

1−2歳くらいのお子さんを連れてフッ素塗布を希望される方もいます。

ですが、3歳までは「感染の窓」と言って

お母さんからの虫歯菌の感染がとても多い時期になります。

 

ですから、この時期はお子さんのフッ素塗布をするよりもむしろ

お母さんの予防をすることの方が簡単ですし、効果的です。

 

まとめ

  • フッ素塗布、定期検診は母子一緒が望ましい。
  • 3歳まではお母さんの予防をしないと意味がない。
  • セルフケアを身につけるために、歯科医院を利用する。

 

 

カリソルブという治療法

カリソルブというものをご存知でしょうか?

 

これは虫歯を溶かす薬剤です。

 

この薬剤のコンセプトは

虫歯を削らずに、溶かすことで安全に虫歯を除去しようというものです。

 

だいぶ前からスウェーデンの方では普及していたものです。

 

結構前から入手したかったのですが、

輸入の関係でなかなか手に入りませんでした。

 

ですがようやく入手できるようになったので

早速使ってみました。

 

その感想ですが

 

時間はかかるけれど、とても丁寧に虫歯を除去できるため、安全性が高い

 

と感じました。

 

正直タービン(虫歯を削るドリル)の方が圧倒的に早いです。

ただ、どうしても削りすぎは避けれないところがあります。

 

これを解消するとてもいい薬剤だなと思います。

 

 

虫歯の治療は、

いかに安全に神経にダメージを与えないように除去するかが重要です。

 

カリソルブはそれを助けてくれます。

 

おかげでまた臨床の幅が広がりました。

 

 

 

 

 

虫歯(カリエス)はどのくらいの期間で出来るのか

虫歯の必要条件としてバイオフィルムプラーク)があります。

これが除去できていないと、当然いつかは虫歯になります。

 

ではいったいどのくらいの期間で虫歯(カリエス)は出来るのでしょうか?

 

口腔内でバイオフィルムを意図的に除去しない実験が以前行われたそうです。

その結果

 

1週間経過

肉眼では変化が見られない。しかし、電子顕微鏡による観察では、エナメル質表層で結晶の溶解が生じている。

最表層から20~100μmの深さまで軽度の無機質の喪失が起こっている。

つまりこの段階で虫歯が出来始めているということですね。

 

2週間経過

よーく見ると肉眼で白濁して見える。

最表層に比べて内部のエナメル質から無機質の喪失が優先的に起こっている。

表層下脱灰という専門用語がありますが、これです。

要は2週間も経過すれば、見た目の色が白っぽくなりますよってことです。

 

3~4週間経過

明らかな白濁が見える。

この時点では注意して見なくても、明らかに白く見えるわけです。

つまり、ご自身でも気づけるはず。

 

考察

バイオフィルムプラーク)が付着した状態は1週間も経過すれば

虫歯になるということが分かりました。1週間も歯を磨かないという人は

いないと思いますので、基本的にはうまく磨けていないところで虫歯が

発生します。

歯の間や、歯肉の付近、歯の溝などが虫歯の好発部位です。

また1ヶ月くらいすると白く見えるほどに変わるということですが、

実はこの程度の虫歯であれば、現在は削らずに治癒させることができます。

それこそ再石灰化という体の力を使うことができます。

 

そう考えると、定期検診は普段3ヶ月おきくらいをお勧めしていますが、

歯磨きに自信がない人は1ヶ月おきくらいがいいのかもしれませんね。

 

 

予防歯科への思い

なぜ予防歯科オフィスを立ち上げたか。

それは日本の虫歯治療があまりにもひどい状態だからです。

当然制度の問題が根本にあることは間違いないです。

 

ではどうひどいのか。

 

無駄な治療が多い

みなさんが歯医者に行って、虫歯が発見された場合どのような経験がありますか?

まず虫歯を削って、型取りをして、銀歯を入れて

という経験が多いのではないでしょうか?

虫歯と単純に言っても、治療法は様々です。また虫歯の大きさや、虫歯の位置などに

よって治療の計画が必要なはずです。

ところが日本の虫歯治療は、大した計画も練らずにまず削って、型を取って。。。

これのどこが治療なのでしょうか?

こんな治療なら、資格を持った歯医者でなくても

ちょっと練習をした器用な人の方が、治療は上手かもしれません。

 

治療をする前に、診査診断そして治療計画が大事です。

それは虫歯の治療一つとっても当然大事です。

 

たしかに保険のルールにはそのような項目がありません。

虫歯を見つけたらすぐ治療が始まるのもルールの責任でもあります。

 

結果として無駄な治療が非常に多い。

 

削って詰めたらそれで治っているのか?

そもそもルール通りに銀歯を入れたとして

それが治っていると思いますか?

 

何事もそうですが、原因を改善して初めて結果というものは改善します。

結果だけ治そうとしても、治るわけはありません。

 

私も歯医者になりたての頃は、治療の精度を上げていけば

完全な治癒が望めると思っていました。

もちろん精度は大事なことで、日々研鑽を積む必要はあります。

 

ただ、どれだけ精密は治療をしたとしても、原因が治っていないならば

いずれは再発します。

日本の歯科治療はあくまで対症療法。結果だけを治そうとする制度です。

だから毎日のように以前治療を施された歯の再治療が多いことになります。

2次カリエスといって、銀歯がまた虫歯になってしまうことを表す用語です。

こんな専門用語ができるくらい、やり直しが多いです。

 

大事なことだからもう一度言います。

銀歯を入れることは、治癒ではありません。

とりあえず虫歯の進行を遅らせているだけです。

 

原因を治しましょう

虫歯を削ることよりも、まず原因を治しましょう。

まず原因を知りましょう。

 

原因を知れば、改善策ができます。

これをカリエスアセスメントと言います。

 

そして、知識をつけましょう。

当然今までとは違った生活習慣になるはずです。

原因を治すためには、生活習慣の改善も必要だからです。

 

高血圧だって糖尿病だって、薬だけでは治らないのと同じです。

虫歯だって、銀歯などを詰めたところで治るはずはありません。

 

アセスメントによって知識を得ることが、一番の予防だと思います。

私たち歯科医療従事者は、皆大学で習う当たり前のことです。

その当たり前のことのおかげで

私たちは虫歯にならないで済んでいるわけです。

 

私の考える予防歯科

私たち歯科医療従事者が知っている知識と同じ知識を得た上で、

私たちと同じセルフケアのスキルを身につける。

これにより、虫歯の発生を防ぐことです。

 

一度知ってしまえば、そんなに難しいことではありません。

 

今までの歯科医院の利用の仕方は、何か症状があったら行くところでした。

歯を削りに行くところでした。

 

これからは、クリーニングをするところであり、

セルフケアと予防の知識をアップデートする場所として利用して欲しいと思います。